SNS広告・インフルエンサーマーケティングの目的が「認知拡大」から「流入・獲得・継続」へ、重点媒体がXからYouTube・TikTokへシフトしています。Macbee Planetの調査(1,221人対象)から、現場の設計変化を整理しました。
インフルエンサーに単発で頼む時代が終わっている
要点:Macbee Planetが2026年3月に実施したSNS広告・インフルエンサーマーケティング調査(BtoC企業のマーケ担当者1,221人対象)によると、インフルエンサー施策は単発タイアップから長期契約・成果連動型への移行が明確に進んでいます。
「とりあえず話題のインフルエンサーに1本頼んでみた」「バズったけど購買につながらなかった」——こういう経験が積み重なって、インフルエンサーマーケティングの設計が変わってきています。
調査によると、単発のタイアップ・PR投稿(固定報酬)は過去比で大きく低下した一方、長期契約(アンバサダー契約など)は過去比で約8ポイント上昇し最多の選択肢になっています。成果連動型・固定+成果のハイブリッドも増加しており、「1回の露出」より「継続的な接点と成果」を求める方向へ移行しています。
今後の方針としても「長期契約を中心にしたい」「固定+成果のハイブリッドを増やしたい」が上位を占めており、単発固定報酬の縮小傾向は今後も続く見通しです。
| 変化の方向 | 過去から低下 | 過去から上昇 |
|---|---|---|
| 施策の目的 | 認知拡大・興味喚起 | Web流入・新規獲得・継続率向上 |
| 重点媒体 | X(旧Twitter) | YouTube・TikTok |
| インフルエンサー契約形態 | 単発タイアップ・商品提供 | 長期契約・成果連動・ハイブリッド |
| 選定基準 | フォロワー数・フォロワー属性 | エンゲージメント率・クリエイティブ力 |
| KPI | 再生数・リーチ(露出) | クリック・来店・指名検索(行動) |

「フォロワー数で選ぶ」をやめた結果、何が変わったか
要点:インフルエンサーの選定基準として「フォロワー数」「フォロワー属性」が低下し、「エンゲージメント率」「フォロワーとの距離感」「クリエイティブ力」が上昇しています。「誰にどれだけ届くか」より「どんな反応を生み出せるか」へ軸が移っています。
フォロワー数が多いインフルエンサーに頼んでもCVRが低い——この経験が積み重なって、選定基準が変わってきています。今は「1万人に届く」より「1,000人がクリックする」設計のほうが事業への貢献が見えやすいです。
特に注目したいのは「クリエイティブ力」の上昇です。単に商品を紹介するのではなく「この人の表現でこの商品を語るから伝わる」という価値を求める方向にシフトしています。健康食品・美容ECにとって、薬機法の範囲で「体験を伝える表現力」があるインフルエンサーを選ぶことの重要性が増しています。
また「指名検索」をKPIに加えた企業が増えている点も重要です。インフルエンサー施策の後に自社ブランド名の指名検索が増えているかをGA4・サーチコンソールで計測する設計は、「認知が購買意欲につながっているか」を把握する現実的な方法です。
なぜXからYouTube・TikTokへ重心が移ったのか
要点:重点媒体でXは低下、YouTubeが上昇、TikTokも絶対値は小さいが伸び率が顕著です。Instagramはほぼ横ばい。「テキスト・画像の時代から動画体験の時代へ」という移行が媒体選択に表れています。
Xのリーチ低下とアルゴリズム変化が影響しているのは事実ですが、本質は「動画コンテンツで体験を伝えられるかどうか」に重点が移ったことにあります。
健康食品・美容ECにとってこれが意味するのは「商品の使い方・効果の実感・生活シーンへの溶け込み方」を動画で伝えられるインフルエンサーとの相性が上がっているということです。テキスト投稿より動画のほうが「自分も使ってみたい」という感情を引き出しやすく、AIOが苦手な「一次体験としての動画」は差別化資産になります。
まとめ

- インフルエンサーマーケティングは「認知のための単発施策」から「流入・獲得・継続のための長期設計」へ移行しています。単発固定報酬は縮小傾向が続いており、長期契約・成果連動への移行が現場の次のアクションになります。
- 選定基準は「フォロワー数」より「エンゲージメント率・クリエイティブ力・フォロワーとの距離感」に移っています。健康食品・美容ECにとっては「薬機法の範囲で体験を伝えられる表現力」があるインフルエンサーを選ぶことが重要になります。
- KPIに指名検索を加えることが、インフルエンサー施策の事業貢献を可視化する現実的な方法です。施策後のブランド名指名検索の変化をサーチコンソールで計測する習慣を今から作ることをおすすめします。
よくある質問
Q. 健康食品ECでインフルエンサーに依頼する際の薬機法上の注意点は?
インフルエンサーが投稿する内容も広告として薬機法・景表法の規制対象になります。「飲んだら痩せた」「病気が治った」という効果の断定はNGで、広告主(EC事業者)も連帯責任を問われる可能性があります。「毎日の習慣として取り入れている」「個人的な感想として○○を感じた」という表現の範囲内でのガイドラインを事前にインフルエンサーと共有することが基本です。
Q. 成果連動型の報酬設計はどう考えればいいですか?
初回CVR・指名検索増加数・LINEアカウント友だち追加数など、自社の事業目標に近い指標を成果の基準にすることが現実的です。「再生数○万回で追加報酬」という設定は露出の多いインフルエンサーに有利で、事業への貢献と連動しにくいです。クリック数・流入数・購入数を基準にすることで、インフルエンサー側にも「売れるコンテンツを作る」インセンティブが生まれます。
※参照:「SNS広告・インフルエンサーマーケティングの実態、流入・獲得・継続を重視する設計へ、重点媒体はX中心からYouTube・TikTokへシフト」ネットショップ担当者フォーラム(Macbee Planet調査)

