BCGの調査でメディア総視聴時間の減少とAI活用の広がりが示されました。「情報検索にAIを使う」という行動が約半数に達しており、EC事業者のコンテンツ設計・広告設計に関わる変化を整理しました。
テレビだけが減っているのではない。メディア総視聴時間が減少した意味
要点:ボストン コンサルティング グループ(BCG)が実施した2025年度メディア消費者行動調査(15〜69歳男女3,717人対象)によると、1日あたりのメディア総視聴時間が前年から減少しました。テレビの視聴時間だけでなく、ドラマ・ニュースといったジャンルで視聴者数そのものが減少しているという変化が示されています。
「テレビ離れ」という言葉はすでに定着していますが、今回の調査が示すのはより広い変化です。1日あたりのメディア総視聴時間が2023年・2024年から減少し、特にドラマ・ニュースというリアルタイム視聴が主流だったジャンルでは、視聴経路がテレビから動画配信サービスへ移っただけでなく、視聴者数そのものが減っていることが確認されました。
SVOD(定額制動画配信)・AVOD(広告型動画配信)・SNSは横ばいで推移しています。つまり「テレビから他のメディアへ移った」のではなく、「メディアを見る時間そのものが減っている」という変化が起きています。
この調査で最も注目したのは「メディア総視聴時間が減った理由は何か」という問いです。その答えのひとつがAIの台頭です。
| メディアの変化 | EC事業者への示唆 |
|---|---|
| メディア総視聴時間の減少 | 広告接触機会が全体として減少している |
| ドラマ・ニュースの視聴者数減少 | テレビCM・タイアップの到達率低下が加速 |
| SVOD・AVOD・SNSは横ばい | 動画広告・SNS広告への集中はまだ有効 |
| AIの情報検索利用が約半数に | 「AI検索に引用される」コンテンツ設計が重要に |
「情報検索にAIを使う」が約半数に。EC事業者が今すぐ考えるべきこと
要点:AI利用率は全体で約半数に達しており、10〜20代では過半数を超えています。AI利用目的の最多は「情報検索・調べもの」であり、AI活用者はテレビ視聴時間が短い傾向があることも示されました。
今回の調査で特に注目したいのがAI利用率のデータです。全体で約半数がAIを利用しており、10代・20代では過半数を超えています。AI利用の目的として最も多かったのは「情報検索・調べものに使う」という回答で、「翻訳・要約・文章作成などの補助作業」「会話・相談など対話的に使う」が続いています。
さらに興味深いのは「AI活用者はテレビ視聴時間が短い傾向がある」という分析です。つまりAIを使って情報を取得する人ほど、テレビから離れているという相関が示されています。
EC事業者として現場でこのデータを見たときに感じるのは、「情報を探す行動」が変化しているということです。これまでの「Google検索→サイトに来訪→購買」という導線に加えて、「AIに聞く→AIが推薦する商品・サービスを購入する」という行動が広がってきています。
情報検索にAIを使う層が半数に達している以上、「AIが検索結果として引用するコンテンツ」に自社が含まれるかどうかが、新しい集客指標になります。FAQ構造・定義文・具体的なユースケースを含むコンテンツ設計が、AI検索への対応の出発点です。
10〜20代でAI利用率が高く・テレビ視聴時間が短い傾向が示されたことは、若年層へのアプローチとしてテレビ広告の効率が下がっていることを意味します。SNS広告・AVOD(YouTube等)・インフルエンサー経由の接触が、この層へのリーチとして現実的な選択肢になっています。
SVODを利用する理由として「好きな時間に見られる」「倍速・スキップ再生ができる」が上位に挙げられています。この行動様式は広告接触にも影響します。「スキップされない冒頭5秒の設計」「倍速視聴でも伝わるメッセージ設計」が動画広告の基本として重要性を増しています。
スマートフォンが全コンテンツのメイン端末に。EC設計への影響
要点:コンテンツ取得時の利用デバイスは、ジャンルを問わずスマートフォンが中心になりました。新聞・本・雑誌では紙媒体を好む方が多いという対比も示されており、用途に応じた使い分けが進んでいます。
コンテンツ取得時の利用デバイスを見ると、ほぼすべての領域でスマートフォンが中心になっています。一方で、新聞・本・雑誌では紙媒体を好む方が8割近くに達しており、テキスト・情報系コンテンツへの紙への信頼感は依然として高いことが示されています。
EC事業者にとってこのデータが意味するのは「スマートフォンファーストの設計は当然の前提であり、そこからさらに何を優先するか」という問いです。スマートフォンで情報を取得し、スマートフォンで購買判断をする——この行動フローに合わせたLP・商品ページ・決済フローの最適化は継続的な取り組みになります。
まとめ
要点:メディア総視聴時間の減少とAI利用の拡大は、EC事業者にとって「どこで・どのように顧客に情報を届けるか」を再設計するタイミングを示しています。
- メディア総視聴時間が減少し、特にドラマ・ニュースで視聴者数の実数が減少しています。テレビ広告の到達率低下が加速しており、SNS・AVOD・AI検索経由の接触設計が重要性を増しています。
- AI利用率が全体で約半数に達し、最多利用目的は「情報検索・調べもの」です。「AIに引用されるコンテンツ設計」が、SEOと並ぶ新しい集客の軸になっています。
- コンテンツ取得はスマートフォンが中心です。スマートフォンファーストの設計を前提にしながら、AI検索・動画広告・SNSという複数の接点を組み合わせた設計が、現場での次のアクションになります。
よくある質問
要点:メディア変化とEC広告設計への影響について疑問を整理しました。
Q. テレビCMをまだ活用しているEC事業者はどう考えればいいですか?
テレビ視聴者が完全にゼロになるわけではなく、特に高年齢層ではまだテレビのリーチは有効です。ただし若年層・AI活用層への到達は期待しにくくなっているため、テレビCMを活用する場合はターゲット年齢層を明確にした上で、他チャネルとの組み合わせ設計が現実的です。
Q. AI検索対策はSEO対策と別々にやる必要がありますか?
基本的な方向性は重なります。「信頼性の高いコンテンツ・明確な構造・ユーザーの悩みに答える情報設計」はSEOとAI検索の両方に有効です。ただしAI検索では「FAQ構造」「定義文」「具体的なユースケース」がより重要になる点がSEOとの差異です。別々に対策するより、方向性を統一して取り組む方が効率的です。
※参照:「テレビ離れだけじゃない? メディアの総視聴時間が減少、ドラマ・ニュースも視聴者減【BCG調べ】」Web担当者Forum(ボストン コンサルティング グループ調査)
