シニア犬市場はどう変化した?医療費・保険・予防需要をデータで読む

シニア犬市場の推移

シニア犬市場では、高齢犬の割合の増加を背景に、関節ケア・医療費・ペット保険・予防ケア需要が変化しています。本記事では、各種の調査データをもとに、その変化を一つのストーリーとして整理します。

この記事のポイント

シニア犬の増加→医療費の上昇→治療費の実態→サプリ市場の予防シフトという流れを、データを繋いで見ていく記事です。「うちの子も将来こうなるかも」という視点で読んでいただけたらと思います。

シニア犬が増えている背景と、関節の不調という現実

要点:シニア犬の割合は年々増加傾向にあり、関節に不調を抱える犬も一定数見られるようです。

シニア犬の増加が話題

最近、ペット業界では「シニア犬の増加」が話題になることが増えてきました。一般社団法人ペットフード協会の調査では、13歳以上の高齢犬の割合は18.2%となり、4年連続で増加、2015年と比べて2.6ポイント増えています。獣医療の進歩や食事の質の向上によって、犬の寿命自体が延びてきていることが背景にあるようです。

そのなかで気になるのが「関節」の話題です。日本大学獣医外科学研究室が10歳以上の犬524頭を対象に行った調査では、44.3%が変形性関節症もしくは変形性脊椎症にかかっていたと報告されています。犬の関節の不調は決して珍しいものではなく、10歳を超えると半数近くに何らかの違和感が見られる、という結果です。

もちろん、これは「すべての犬に当てはまる」という話ではなく、年齢を重ねるなかで関節への負担が出やすくなる、という傾向の話です。日々の散歩量や体重管理、滑りやすい床など、生活環境による影響も大きいと言われています。フローリングでの足の踏ん張りや、階段の上り下りといった日常の動作が、知らないうちに負担として積み重なっていくケースもあるようです。

シニア期に入ったら、歩き方や動きの変化に、これまでより少し注意を向けてみる。階段を嫌がるようになった、座り込むまでの動作がゆっくりになった、といった小さな変化が、最初のサインになることもあるようです。

日常の動作が負担

項目 傾向
高齢犬(13歳以上)の割合 18.2%(2015年比+2.6pt)
10歳以上の関節の不調(変形性関節症等) 44.3%との調査報告も
発症リスク 大型犬・小型犬それぞれに異なるリスク要因あり

シニア期にかかる医療費と、ペット保険という選択肢

要点:シニア期は医療費がかさみやすく、ペット保険への関心も高まっているようです。

複数の動物病院の案内などで紹介

犬の年齢が上がるにつれて、動物病院にかかる回数や検査の頻度が増えていく、というのは多くの飼い主さんが感じることではないでしょうか。

国内のペット保険加入率は、犬・猫全体で見るとおよそ2割、犬に限ると23.6%程度というデータがあります(2025年8月時点)。年々加入を検討する人は増えている傾向にあり、シニア期の医療費負担を見据えて保険への関心が高まっている、という流れは各種の業界情報でも見られます。

ただ一つ注意したいのが、ペット保険には新規加入の年齢制限を設けているプランが多く、シニアになってから加入しようとすると選べる選択肢が限られてくる、という点です。保険会社によって基準は異なりますが、多くのプランで8歳前後が新規加入の上限の目安になっているようです。

保険に入るかどうかは家庭の考え方次第ですが、「いつから検討するか」というタイミングは、早めに情報収集しておいて損はないポイントかもしれません。シニア期に差し掛かる前の段階で、一度プランの内容や条件を比べておくと、選択肢が広がりやすいとも言われています。

項目 傾向
ペット保険 加入率(犬) 23.6%程度(2025年8月時点)
新規加入の年齢制限 多くのプランで8歳前後が上限の目安
医療費への関心 シニア期を見据えて検討する人が増加傾向

関節関連の治療費は、実際どれくらいかかるのか

要点:関節関連の治療費は決して小さい金額ではなく、事前に知っておく価値があります。

「実際、関節の治療ってどれくらいかかるの?」というのは、多くの飼い主さんが気になるところだと思います。

動物病院は自由診療のため、同じ治療でも病院によって費用に差が出やすいのが実情です。それでも、関節の手術が必要になるケースでは、十数万円から数十万円程度の費用がかかることが多い、という情報が複数の動物病院の案内などで紹介されています。なかでも小型犬に多いとされる膝蓋骨脱臼(パテラ)の手術は、術式や入院期間によって16万円〜45万円程度と幅があり、症状の重さによって費用感が大きく変わるようです。

手術までいかなくても、通院を重ねるケースでは、診察・検査・薬代などが少しずつ積み重なり、結果的にまとまった金額になることもあるようです。

「うちの子は大丈夫」と思っていても、シニア期に入ると思いがけない費用が発生することがあります。「もしまとまった金額がかかったら、どう対応するか」を事前にイメージしておくことは、決して無駄にはならないはずです。日頃から、家計のなかで医療費に充てられる範囲を考えておく、という視点も大切にされているようです。

項目 傾向
関節関連の手術費用 十数万円〜数十万円程度の幅があるとされる
膝蓋骨脱臼(パテラ)の手術 16万円〜45万円程度(症状により幅あり)
通院での累積費用 回数が増えるとまとまった金額になりやすい

予防への意識シフトと、サプリメント市場の変化

要点:治療よりも予防を意識し、サプリメントを取り入れる飼い主さんが増えているようです。

サプリメント市場が拡大

ここまで見てきたような医療費の実態を踏まえると、「治療が必要になる前に、できることをしておきたい」と考える飼い主さんが増えているのも、自然な流れかもしれません。

業界紙の報道によると、国内のペットサプリメント市場は2021年時点で約73億円規模となり、直近5年間で2割近く成長したと紹介されています。高齢ペットの増加を背景に拡大している分野とされ、なかでも犬用の関節サプリ(骨・関節のサポートを訴求する商品)は、室内飼育の小型犬や高齢化した犬を中心に需要が伸びている分野とされているようです。前述のとおり、10歳以上の犬の関節の不調は珍しいものではないため、こうした関節サプリへの注目が高まっているのも自然な流れかもしれません。

「症状が出てから対応する」のではなく「早めにケアを始めたい」という予防シフトの意識を持つ飼い主さんが増えているという見方は、複数の業界情報でも共通しています。サプリを選ぶ際に、配合されている成分の種類や含有量を確認するという視点も、以前より重視されるようになってきているようです。

ただし、サプリメントはあくまで日々のケアの一つという位置づけです。運動量や食事内容とのバランスを含めて、無理なく続けられる範囲で取り入れていくのが、現場でも大切にされている考え方だと感じます。

項目 傾向
高齢ペット向けサプリ市場 拡大傾向にあるとされる
国内ペットサプリ市場規模 2021年時点で約73億円(直近5年で2割近く成長)
骨・関節サポート分野(関節サプリ) 小型犬・高齢犬を中心に需要が伸びている
予防シフトの意識 早めのケアを意識する飼い主が増加傾向
成分・含有量の確認 選ぶ際に重視する人が増えている

まとめ

要点:シニア犬市場は、高齢犬の増加→医療費・保険ニーズの拡大→予防需要の高まりという3つの変化で動いているようです。

記事のまとめ

ここまで、シニア犬の増加・医療費と保険・治療費の実態・サプリ市場の予防シフトという4つの観点を見てきました。それぞれは別のテーマですが、つなげてみると「高齢化に伴って医療費の負担が増えやすくなり、その負担を見据えて予防にも目が向きやすくなっている」という、自然な流れとして見えてきます。

シニア犬市場を動かす変化 データ
①高齢犬の増加 13歳以上18.2%(2015年比+2.6pt)
②関節の不調・医療費負担 10歳以上で44.3%が関節症等
③保険・予防への意識 犬の保険加入率23.6%・ペットサプリ市場は2021年に約73億円
まとめ
  • 高齢犬の割合は増加傾向にあり、関節に不調を抱える犬も一定数見られる
  • シニア期は医療費がかさみやすく、保険の加入タイミングも検討材料になる
  • 関節関連の治療費は決して小さくなく、事前の情報収集が役立つ
  • こうした背景から、予防を意識したサプリメント活用へのシフトが見られる

よくある質問

要点:シニア犬のケアを考えるうえで、よく聞かれる疑問をまとめました。

Q. シニア犬とは何歳からですか?

明確な定義はありませんが、7歳前後からシニア期と言われることが多いようです。犬種やサイズによっても差があると言われています。

Q. ペット保険は何歳までに検討すればいいですか?

保険会社によって異なりますが、新規加入には年齢制限があることが多いため、早めの検討が選択肢を広げるポイントになりそうです。

Q. サプリメントは何歳から取り入れるべきですか?

特に決まりはありませんが、予防的なケアとして、シニア期に入る前から取り入れる飼い主さんも増えているようです。

※参照:一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」、日本大学獣医外科学研究室の調査報告、PS保険・第一アイペット・アニコム損保等のペット保険加入条件情報、各動物病院の手術費用案内、健康産業新聞のペットサプリメント市場特集