「腸活に~」「肌のハリに~」という広告コピーは、誰が書いても同じになりやすいですよね。その理由はシンプルで、その言葉がマーケターの言葉だからだと思っています。顧客が実際に感じている体験とはズレていることが多いんです。この記事では、訴求とカテゴリの違いを整理した上で、LTVの高い顧客のVOCをAIで分析して届く言葉を作る考え方をまとめています。
「腸活に~」「肌のハリに~」は商品カテゴリの説明であって訴求ではない。届く言葉は顧客の体験から作る必要がある。今まで人が抽出していたVOCはどうしても網羅できなかったが、AIを使えば全件分析できる。LTVの高い顧客だけに絞って分析すると、訴求の種になる言葉の精度が上がる。
訴求とカテゴリはどう違うのか
要点:「腸活に~」「肌のハリに~」は訴求ではなくカテゴリになりやすい。誰の悩みにも刺さらない言葉になっていることが多い。
「腸活をサポートする」「肌のハリを守る」という広告コピーは、商品が属するカテゴリを説明しているだけになりやすいです。読んだ人は「ああ、そういう商品ね」と理解するけれど、「自分のことだ」とはなかなか感じません。理解と共感は別物で、広告に必要なのは共感の方だと思っています。
なぜこういう言葉になるのかというと、マーケターが商品の機能や成分から言葉を作るからだと思います。商品視点で考えると「腸活に効く→腸活に~」という発想になりやすいんですよね。でも顧客は「腸活がしたい」と思っているわけではなく、「お腹の調子が悪くて毎朝つらい」という体験を持っています。この視点のズレが訴求をカテゴリにしてしまいがちです。
もうひとつ見落とされやすいのが、担当者と顧客の年齢差です。主ターゲットが50代の商品を30代の担当者が書くと、50代の日常の体験が想像できません。逆も同じで、年齢が上下10歳違うだけで、顧客が感じているリアルな悩みは担当者の日常感覚とはかなりズレてしまいます。だからこそ、担当者の感覚で言葉を作るのではなく、顧客の声から作る必要があります。
訴求は顧客の体験の言葉で作るのが一番いいと思っています。「16時になると一気に集中力が切れる」「久々のママ友に老けたと思われそうなほうれい線」というレベルまで落とせると、読んだ人が自分のシーンを思い浮かべやすくなります。これが訴求とカテゴリの違いです。
| 種別 | 言葉の例 | 読者の反応 |
|---|---|---|
| カテゴリ | 腸活に~・肌のハリに~ | 「そういう商品ね」で終わる |
| 訴求(浅) | お腹の調子が気になる方に・ハリ不足が気になる方に | 「まあそうかな」で終わる |
| 訴求(深) | 16時になると一気に集中力が切れる・久々のママ友に老けたと思われそうなほうれい線 | 「自分のことだ」と止まる |

LTV高い顧客のVOCをAIで分析して訴求の種を作る
要点:今まで人が抽出していたVOCはどうしても網羅しきれなかった。AIなら全件読めるし、LTV高い顧客に絞ることで訴求の精度も上がりやすい。
顧客の体験の言葉を作るには、顧客の声(VOC)を起点にするのが一番精度が高いと思っています。レビュー・口コミ・カスタマーサポートへの問い合わせ内容がその素材になります。
たとえば「16時になると一気に集中力が切れる」という言葉は、VOCを見るまで思いもしませんでした。自分より年齢が上下10歳違う顧客の体験は、担当者には想像しにくいんです。だからこそVOCを起点にする必要があって、担当者の感覚で作った言葉とは全然違う言葉が出てきます。
今まではこのVOCを人が読んで抽出していました。ただ人が読む場合、どうしても担当者の主観や見落としが入りやすいです。量が多ければ全件読むことができず、印象に残った声だけがピックアップされがちですよね。結果として「よく見るレビュー」は抽出できても、「LTVの高い顧客が使っている言葉」という粒度での分析はなかなか難しかったりします。
AIを使えばここが変わってきます。全件を読んでパターンを抽出できるし、主観も入りません。VOCはテキストデータだから個人情報の問題が起きにくく、AIに渡しやすい素材でもある点も助かります。LTVの高い顧客だけをCRMでセグメントして、そのグループのVOCだけをAIに分析させると、継続してくれた顧客が実際に使っている体験の言葉が出てきやすくなります。
定期継続3回以上・LTV上位など、自社で定義した優良顧客セグメントを抽出する。全顧客のVOCではなく、このグループに絞ることで訴求の種の精度が上がる。
レビュー・口コミ・サポートへの問い合わせ内容をテキストで準備してAIに渡す。「このグループが使っている体験の言葉・感情の言葉を抽出してほしい」という指示で動く。カテゴリの言葉ではなく体験の言葉が出てくるように指示を設計する。
AIが抽出した言葉の中から、具体的なシーン・時間・感情が入っているものを選ぶ。「腸活に~」のような抽象的な言葉は除外する。「16時になると」「久々に会ったとき」のように場面が浮かぶ言葉が訴求の候補になる。
抽出した言葉と自社USPを組み合わせて訴求を完成させる
要点:VOCから取り出した体験の言葉に、自社にしか言えないUSPを1つ組み合わせてみてほしい。そこで初めて届く訴求になりやすい。

VOCから体験の言葉が出てきても、それだけでは訴求として完成しません。「16時になると一気に集中力が切れる」は顧客の悩みであって、自社商品を選ぶ理由ではないからです。ここに自社固有のUSPを1つ組み合わせることで、「だからこの商品なんだ」という流れが生まれやすくなります。
USPの設計で重要なのは、商品を最も深く理解しているのは自社だということです。代理店は複数クライアントを横断して見ているので、どうしても上澄みのUSPしか把握できません。「天然由来」「無添加」「こだわり製法」のような言葉になりやすいのはそのためで、自社が持っている研究実績・成分の配合比率・製造工程の特徴といった深いところまでは届きにくいです。自社だけが言えるUSPを1点に絞る作業は、インハウスの担当者にしかできないことだと思っています。
体験の言葉×自社USPの組み合わせが、カテゴリではなく訴求になります。この設計をクリエイティブに落とし込む前に言語化しておくと、広告のABテストも「何を変数にするか」が明確になって動きやすくなります。現場でいつも感じることですが、ここを言語化せずにクリエイティブを量産しても、なかなか成果につながりにくいです。
- VOCはLTV高い顧客に絞って分析する:全顧客の声より、継続してくれた顧客の言葉に訴求の種がある
- AIで全件を網羅的に抽出する:人が読むと主観・見落としが入る。AIなら全件・パターン抽出ができる
- 体験の言葉を選ぶ:シーン・時間・感情が入っている言葉を選ぶ。カテゴリの言葉は除外する
- USPは自社固有の1つに絞る:他社も言えることは使わない。1点に絞ることで訴求が鋭くなる
- 体験の言葉×USPで訴求を完成させる:顧客の悩み+自社だけの解決策の組み合わせが、届く訴求の基本的な構造になりやすい
まとめ
要点:訴求はマーケターが作るより、LTV高い顧客の声から作る方が精度が上がりやすい。AIがその作業を現実的にしてくれる。
- 「腸活に~」「肌のハリに~」は訴求ではなくカテゴリになりやすいです。商品視点で言葉を作るとこうなりがちです
- LTV高い顧客のVOCをAIで全件分析すると、体験の言葉が網羅的に出てきます。人が抽出していたときの主観・見落としがなくなります
- 抽出した体験の言葉×自社固有のUSPを組み合わせることで、初めて届く訴求になります
よくある質問
要点:VOC分析と訴求設計で現場からよく出る疑問に答える。
件数が少ない場合はカスタマーサポートへの問い合わせ内容も素材に加えてみてください。問い合わせは購入前後の生の悩みが出やすく、訴求の種になりやすいです。件数が増えるまでは定性的に読み込む方法でも十分機能します。
「この顧客グループのレビューから、体験・シーン・感情が入った言葉を抽出してほしい。商品カテゴリの説明になっている言葉は除外してほしい」という形で指示するのがおすすめです。抽象的な言葉ではなく具体的な場面が浮かぶ言葉を求めると精度が上がりやすくなります。
訴求1本につきUSPは1つに絞るのがいいと思います。複数入れると何が刺さったかわからなくなり、ABテストの変数も曖昧になりがちです。USPごとにクリエイティブを分けて、どのUSPがLTVの高い顧客に響くかをCRM側で後追いしてみてください。
訴求設計をキャンペーン分離・LTV後追いの設計に落とし込む方法は「疲労に~」「シミ・シワに~」では届かない。Meta広告で成果を出すペルソナ設計とLTV後追いの話で整理している。

