AI Overviewsが表示された検索結果でユーザーが「比較検討する」行動が増えていること、ゼロクリック検索が減少しオーガニックCTRが回復していることが大規模データで示されました。EC担当者・SEO担当者が今すぐ考えるべきことを整理しました。
AI Overviewsは「検索結果をクリックする場所」から「比較検討する場所」に変えた
要点:米国の大規模クリックストリームデータの分析により、AI Overviewsが表示されたSERPではユーザーが「一方向にスクロールしてクリックする」のではなく「上下に行き来しながら複数の選択肢を精査する」行動をとっていることが確認されました。
検索結果ページを「クリックするための場所」だと思っていると、この変化を見誤ります。
Clickstream SolutionsとSurfer SEOが2026年2〜3月に実施した大規模分析によると、AI Overviewsが表示された検索結果でのユーザー行動には明確な変化があります。マウスカーソルの移動範囲が広がり、ページ上での停止時間が増え、上方向へのスクロールが増加しています。特に上方向スクロールは、AI Overviewsがない場合と比べて大幅に多くなっています。
これは「AI OverviewsがあるとSERPでクリックが減る」という単純な話ではありません。ユーザーはページ上でより丁寧に比較・検証した上でクリックを決めているのです。同じ掲載結果が1回だけ見られるのではなく、2回・3回と確認される——この変化が「SEOチームの課題は露出を獲得することに加えて、比較プロセスで選ばれることに移っている」という指摘につながっています。
| 比較 | AI Overviewsなし | AI Overviewsあり |
|---|---|---|
| スクロール方向 | ほぼ下方向 | 上下に行き来する割合が大きい |
| カーソルの停止 | 比較的少ない | 停止時間が長い(比較検討中のサイン) |
| ブランド検索時の行動 | すぐにクリックして離脱 | SERP上でAIO内容を確認してからクリック |
| 検索意図による滞在差 | 意図によって大きく異なる | 意図にかかわらず滞在時間が均等化 |
AI ModeとAI Overviewsは「別の最適化」が必要。EC担当者が知っておくべき違い
要点:AI ModeはAIの回答をそのまま受け入れてクリックなしで完結するセッションが多い一方、AI OverviewsはSERP上での比較・検証が増えます。この2つの最適化戦略は別物です。
重要なのはAI ModeとAI Overviewsを同じものとして扱わないことです。
AI Modeでは、上位に提示された選択肢をそのまま受け入れるユーザーが多く、外部サイトへのクリックが発生しないセッションが多数を占めます。ここでの戦略は「AIモデル上での露出を獲得すること」です。
一方AI Overviewsでは、ユーザーがSERP上で能動的に情報を精査してからクリックします。「ブランドを検索したユーザーでさえ、AI Overviewsが表示されていれば権威性を確認してからクリックする」という分析は、EC事業者にとって重要な示唆です。自社ブランドで検索されても、SERP上の比較で選ばれなければクリックされない時代が来ています。
ECコンテンツ担当者への示唆は明確です。「露出を得ること」は出発点であって終点ではない。AI Overviewsで「比較された上で選ばれるコンテンツ」を作ることが次の課題になります。具体的には、FAQ構造・定義文・具体的なユースケースを含む設計が有効です。
ゼロクリック検索が減少。オーガニックCTRが回復しつつある
要点:Datos(Semrush子会社)とSparkToroによる大規模クリックストリーム分析では、ゼロクリック検索の割合が調査期間中で最低水準まで低下し、オーガニック検索のCTRが回復していることが示されました。
「AI検索が広がるとクリックが減る」という懸念が続いてきましたが、2026年第1四半期のデータは別の方向を示しています。クリックなしで終わる検索の割合は低下し、オーガニックのクリック率は上昇しました。ランド・フィッシュキン氏はこの動向を踏まえて「今後2年以内に検索の約1割がAI Modeになる可能性がある。AIで回答が出る状況に対してコンテンツ戦略を持っていないと面倒なことになる」とコメントしています。
AI検索は従来の検索を置き換えるのではなく補完しているという実態も示されています。AIツールがウェブ全体のセッションに占める割合はまだ限定的であり、従来型検索エンジンの利用は横ばいで安定しています。
ただしECへの影響として注目すべきは、Amazon等のECプラットフォームがAIツールからの遷移先として順位を上げているという分析です。「AIに聞く→商品ページへ直接遷移」という購買導線が育ちつつあります。
まとめ
- AI Overviewsはユーザーが「検索結果で比較検討する」行動を引き起こしています。露出を得るだけでなく「比較された上で選ばれるコンテンツ」を設計することが、これからのSEOの課題です。
- AI ModeとAI Overviewsは最適化の戦略が異なります。AI Modeは「モデル上での露出」、AI Overviewsは「SERP上の比較に勝つ設計」が必要です。
- ゼロクリック検索は減少傾向にあり、オーガニックCTRは回復しています。AIが検索を「殺す」のではなく「変える」という動向を踏まえた戦略設計が現場での出発点になります。
よくある質問
Q. AI Overviewsで比較検討されやすいコンテンツはどう設計すればいいですか?
FAQ構造・一文での定義・具体的な用途やユースケースを含む設計が有効とされています。「この商品は誰の・どんな悩みを・どう解決するか」を明確に書くことが、AI OverviewsでのSERP上での比較に勝つための出発点です。
Q. ゼロクリック減少はECのSEO施策に何を意味しますか?
クリックを諦めなくていいという意味です。ただし「クリックされる理由」が変わっています。速くクリックされるのではなく「比較・検証した上でクリックされる」設計が求められています。タイトル・ディスクリプションで「なぜここをクリックすべきか」を明確に伝えることがより重要になっています。
※参照:「AI Overviewsは検索結果を『比較検討の場』に変える。84万セッションのデータで見えてきたユーザー行動の変化」Web担当者Forum(鈴木謙一氏)

